昨晩のニュースに驚かれた方も多いと思います。

北京五輪100m平泳ぎでは北島康介選手の最大のライバルとして銀メダルを獲得し、昨年の世界水泳上海では58秒71という驚異的な記録で金メダルを獲得したアレキサンダー・ダーレオーエン選手。昨年の上海から、世界中の平泳ぎトップスイマーたちは彼を目標にトレーニングしてきました。もちろんロンドンオリンピック同種目の日本代表になった北島選手、立石選手も。

2009年、高速水着が問題になったとき、「実力のみのフェアな戦いではない」と彼は世界選手権でもどの高速水着も着用しませんでした。その間もトレーニングを続け、高速水着問題が解消さるとレベルアップして国際舞台に戻ってきました。

2011年、世界水泳上海男子100m平泳ぎ決勝の3日前に母国ノルウェーで悲惨なテロ事件が起きると、悲しみに溢れていた国民に少しでも元気を出してほしいと、鬼気迫る泳ぎで金メダルを獲得しました。

彼は正真正銘のアスリートでした。

この夏ロンドンでダーレオーエン選手と北島選手が100m平泳ぎで対決する姿を、誰もが楽しみにしていたことでしょう。北島選手も立石選手も、彼との真剣勝負を楽しみにしていました。

好奇心旺盛で好青年。人間としてもとても魅力的な人物でした。
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世界の水泳界はまさに「ファミリー」と呼ぶに相応しい小さなコミュニティーです。世界中の選手、コーチ、関係者からも彼に対する追悼コメントが発信されています。世界中の水泳ファンが、彼の死を惜しんでいます。しかしロンドンでの金メダルに限りなく近いところでトレーニングを続けて来た彼自身が一番悔しがっているに違いありません。

ただ彼自身、自分の死によって、水泳界が後ろを向いてしまうことは望んでいないと思います。ロンドンオリンピックは、86日後に迫っています。志半ばで亡くなってしまったライバル、そして友である彼のためにも、オリンピックの舞台に立つ全てのスイマーたちが最高の泳ぎを見せてくれることを願っています。

アレックス・ダーレオーエン選手のご冥福を心よりお祈りしています。

Rest In Peace Alexander Dale Oen
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